昨日のNHKの番組「シリーズ 日本人はなぜ戦争へと向かったのか? 第4回 開戦・リーダーたちの迷走」を見ましたが、なかなか良い番組だった と思いました。
番組が言わんとした事は、「当時のリーダー達は全て、対米戦争に勝ち目が無いこと、戦争をしてはいけないことを知っていた。しかしそれを言い出す人が居なかった。対米譲歩を決断できる人が居なかった。」ということでした。
何故言い出せなかったのかといえば、それを言えば国民の反感を買って、何人かは暗殺されるに違いない雰囲気があると思われたからです。
陸軍は、「海軍が特に戦争をしてはいけないと考えているのだから、海軍がそれを言い出すべきだ」と迫るのですが、海軍にそれを言える人は居ませんでした。
トップが問題を曖昧に先送りしていることを良い事にして、陸軍部隊は満州に50万の兵を送り、それに負けじ、と海軍部隊は仏印進駐を実行してしまいます。
これらは実質、宣戦布告に等しい軍事行動だったのですが、その重要性を誰も意識できず、トップを騙しての、軍部の下部の暴走として実行されたものでした。
軍部の青年将校には、強硬な開戦論者が多かったのですが、これは国民世論の熱烈な支持に支えられたものでした。
日本のトップたちは、国民世論を抑えることが出来ないために、問題を先送りして時間が経ってしまいました、そのうちに事態は、どんどん開戦の方向に流されたものでした。
昨日の番組は、この日本の政治の惨状を、トップの人たちに決断力が無かったのが問題だ、と締めくくったのですが、ここに私は番組の限界を見ました。
ここでさらにもう一歩突っ込んで、Tijinさんが書いているような、疑問を持って欲しかったと残念です。
どうしてこの時、国民は、強硬な軍国主義に陥ってしまっていたのか?
この熱狂を冷ますためにはどうしたら良かったのか?
そういう動きは無かったのか?という問題提起をして欲しかったと思います。
冷静に考えれば、誰もがしてはいけないと解るような戦争なのですから、そのことを、国民に知らせて欲しかった。
日本の政治・軍事のトップが、全員してはいけないと思っている、そのことをどうかして国民に知らせる方法は無かったのか?と言うことです。
そういう役割を荷う人が居なかったことが、最大の問題ではないでしょうか?
国民が狂ってしまってからでは遅い、ということを教訓としなければならないと思います。
今現在、その危険な時に来ているのではないか、と私は心配しています。
現在の日本国民の反中感情は、一体扇動されて出来たものなのでしょうか?
誰が扇動しているのでしょうか?
マスコミに責任があることも事実ですが、そんなことを言っているだけで、国民世論は変わるものでしょうか?
国民そのものを対象に、語り掛けなければ、いけないと私は考えます。
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